
「あ!今日のゴールデン洋画劇場の録画予約忘れた!」
急いで公衆電話を探して、自宅に連絡する。
「あ、もしもし、母ちゃん?あのさ、今日の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』やるんよ。録画予約忘れたけん、お願い!」 「なんね。わからんよ、やり方が…。」 「え〜!!ちょっと、姉ちゃんはおる?」 「お姉ちゃんは友達と出かけとるよ。私とお父さんだけよ。」 「新聞!新聞のテレビ欄にGコードってあるやろ?」 「なんね、わからんよ。もう。」
終わった……。
見逃したら二度と見られない。 ビデオ録画を忘れたら最後だ。
約35年前の、平和な日本のとある風景。 まだテレビが娯楽の中心だった時代。 家族みんなで食卓を囲み、好きなテレビ番組を観ながら笑い合い、食事をする。 少し前の親子げんかも、こうして和らぎ、会話のきっかけになったりする。
そして、時は流れる。
「あ、見たいドラマ今週見逃した!」 「でも見逃し配信で見られるよ。」 「そうだった。あとで部屋でスマホで見よう。」
今や、一人に一台のスマートフォン。 手のひらの上で、すべてが解決する時代。 娯楽も、仕事も、コミュニケーションも。
「最近テレビ見ないんだよね。」 「本当。つまんないからね、テレビ。」 「YouTubeのほうがよっぽど面白いよね。」 「でも、最近YouTubeも飽きた。」 「え?今何見てんの?」 「うーん…見るものを探すのに疲れて、結局見ないで寝ちゃってた。」
2025年の現在、エンターテインメントはあふれかえり、人類は「時間の奪い合い」をしている。 少しでも多くの人の目に留まるよう、 少しでも長く見てもらえるよう、 インパクトのある映像を作ったり、 あり得ない行動や迷惑行為をしてみたり…。
誰でも情報を発信し、入手できる時代。 ネット上ではデマや誹謗中傷が飛び交い、その言葉を鵜呑みにして騒ぎ立てる人々。 正義を振りかざして、まったく関係のない人たちを傷つけたり。 「あいつら、こいつら」と全く知らない人たちのことを、気が付けば見下してしまっていたり…。
便利になった代償は、あまりにも大きく、そして寂しい。
「古き良き日本の姿」「人々の温かさ」そういったものは失われてしまったのだろうか。 決してそうではないはずだ。 こういった感情を抱いてしまうのも、ネット社会の副作用なのだろう。
お互いがお互いを監視している時代。 本当にギスギスしているように見える。 なんというか、世界が少しだけ優しくなれたらいいのにと思う今日この頃である。
さて、夏期講習もいよいよ後半戦に突入である。 連日続くこの暑さにも、少しずつ身体が慣れてきた…ような気もするが、 それ以上に、疲れがじわじわと蓄積している気もする…。 (うーん、さすがに梨ゼミ講師陣〔UFOトリオ〕も高齢化が…(^^;))
毎年、夏期講習では、毎朝5時前に起床し、犬の散歩と食事を済ませ、5時半には自宅を出発する。 朝6時に職場に到着し、教室やトイレの掃除を始める。 同じ時間帯に、他の講師やドライバーも塾生のお迎えに出発する。 一番早い子のお迎えはだいたい朝6:45前後。 朝7:30くらいから塾生たちが到着し始め、8時から学習が始まる。 毎朝8時から学習している中3生の中で、夜9:30のラストまで残って勉強する子も多い。 その姿には本当に感心する。
「よくまぁ、朝から晩までこんなに勉強できるもんだな」と。 自分が中学生だった頃を思い返すと、正直こんなに勉強していなかったなぁと。 それだけ梨ゼミの中3生の学習時間は、他塾とは比較にならないほど多く設定してある。 普通に12時間以上塾で学習する子もいるのだから…(^^ゞ
しかし、教室の中の彼らを見ていると、 「勉強している」というより、「戦っている」ように見える。
眠気、暑さ、誘惑、自信のなさ、焦り、不安…。 目に見えない敵が日々襲いかかってくる中、 それでも机に向かい続ける姿は、なかなかどうして立派なものだ。
そんな中、ちょっと一息ですが、 8月10日(日)〜8月20日(水)まで【お盆休み】になります。
そしてお盆休み期間中の8月15日(金)〜17日(日)は、いよいよ今年も開催! 梨ゼミ名物「夏期高原教室」が始まるのだ!
澄んだ空気と青い空。 高原の過ごしやすい気候の中、「課題テスト」と向き合う3日間。 合格できれば、その後は自由。 仲間と過ごすかけがえのない時間を、有意義に使ってほしい。
もちろん、課題が終わって自由だからといって遊んでばかりではもったいない。 学習部屋はずっと開放され、梨ゼミスタッフが合格できない子を付きっきりでサポートする。 課題が終わっても、一緒に勉強してもいい。 特に受験生諸君、ここは苦手単元を克服するチャンスだ。 普段ゆっくり質問できなかったことも、この二泊三日でたくさん質問し、学んで帰れる。
日常とは違う環境での学習は、集中力や思考力のリズムを整えるのにとても効果的。 朝から晩まで、自分と向き合いながら仲間とともに鍛えられる時間。 行く前はドキドキしていた塾生も、帰ってくる頃には必ず「行ってよかった」と言ってくれる。
一方で、本日8月9日(土)。 高原教室に参加しない塾生たちは、過酷な「課題テスト」の真っ最中。
午前から始まり、各教科のテストに挑む。 すべて合格しなければ帰れない。 1つでも不合格なら何度でも再テスト。 事前準備を怠った塾生にとっては、最後の1教科が合格になるまで、帰り道は遠い…。 夜9時、10時は当たり前。 午前0時近くまでテストを受け続ける塾生も少なくない。
しかし、これは「罰」でも「意地悪」でもない。 むしろ逆だ。 自分がどこまで準備してきたかを確かめ、できていなければそれを突きつけられる。 そんな「現実」に向き合うことで、 「準備することの意味と大切さ」がじわじわと身体に染み込んでいく。
「まさか、本当に帰れないとは…」 「ヤバい、ちゃんと勉強しとけばよかった…」
そんな心の声が聞こえてきそうだ。 しっかり準備してきた友人たちが次々と帰路につく中、取り残される自分。 気付けば、ポロポロと涙がこぼれる…。
「『やらなくてはいけないこと』は絶対にやれ!遊ぶのはそれからでも遅くない!」
梨ゼミモットーのこの言葉が、深く心に突き刺さる。
この経験は、後の人生で必ず活きると信じている。
準備をすれば、必ず結果はついてくる。 それを課題テストで肌で感じてくれたら、それだけで十分意味がある。
今、教室は戦いの真っ只中。 また一人、誰かが合格を勝ち取り、 また一人、誰かがもう一度問題に立ち向かう。
このあと全員が課題を終え、胸を張って家に帰れることを心から願っている。 年に一度の梨ゼミ夏の課題テスト。 この日ばかりは、心を鬼にして塾生たちと向き合う。 帰りが遅くなるかもしれませんが、 何卒ご理解いただけますようお願いいたします。m(__)m
この「自分との勝負」に勝った人は、 この夏、きっと強くなる…。
それでは今日はこの辺で! 次回の「ウッチー通信♪」でお会いしましょう!
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